ようこそ! 魔破街へ
だけどそれはこの街の住人達にとって、あまりに悲し過ぎる真実。

だから口には出さなかった。

けれど…きっと誰もが気付いているはずだ。

それでも止まぬ暴走は、やっぱり危険と言えるんだろな。

「は~」

やり切れない思いから深く息を吐くと、扉がノックされた。

「サマナ、帰って来てる?」

タカオミだ。

「あっ、うん。ちょっと待って」

確か部屋の壁にロックを解除するスイッチが…あっ、あった。

この部屋は扉を一度閉めると、自動的にロックされる。

中から招き入れないと、外からは絶対に入れない。

「ゴメンね、夜遅くに。その、ご飯食べられた?」

タカオミは少し気まずそうだった。

その様子を見て、寮を飛び出したことを思い出す。

「あっああ、うん。サラに誘われて、女子寮で管理人のシュリと三人で食べた」

「へぇ、女子寮の管理人に会ったんだ。サマナ、随分気に入られたんだね」

タカオミは目を丸くした。
< 70 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop