ようこそ! 魔破街へ
「ここで生まれる人は、何があっても外へは出られないんですか?」

「ごくまれにだが、例外はある。しかし出た後の消息は一切知らされないから、どうなっているのかは分からない」

…いろんな意味で物騒だ。

「キミは出たいか?」

「いえ、今のところは。なかなか退屈しなさそうで、良いとは思っています」

「変わったコだ。しかし生き延びるタイプだな」

キバラはあくまでも淡々と語る。

こういう人の方が、生きていく術を良く理解しているタイプだな。

担任に連れられ、鐘が鳴った後に教室に入った。

「…ほう、珍しい。全員出席かね」

教室の机は、一つを残して全て埋まっていた。

―が、教室の空気は重い。

黒い空気が可視できるほどに、暗い。

一つの席はきっとオレの席。

つまり…例のコクヤもこの中にいるということか。

しかもクラスメイト達は逃げ遅れたと見た。

サラやタカオミがオレに軽く手を振る。

―引きつった笑みを浮かべて。
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