ようこそ! 魔破街へ
オレは苦笑しながら、教壇に立つ担任の隣に立った。

「今日から転入してきたサマナだ」

「サマナと言います。これからよろしくお願いします」

オレは頭を下げた。

すると軽く声が上がる。…いや、もう何も思わないぞ。

「じゃあサマナの席だが、クラス委員長のサラの隣に…」

「先生」

とある男子生徒が手を上げ、声を上げた。

するとクラスの空気が一斉に凍り付く。

声を出したのは、窓際で一番後ろの席の男子生徒だった。

「サマナ、俺の前の席にして」

「…コクヤ」

キバラが絞り出すような声で言った名前に、オレは目を見開いた。

コクヤ? 今の男子生徒が?

オレは改めて彼を見た。

痩せた体に白い肌。パっと見は中学生かと思うぐらい小柄だ。

しかも人形みたいに整った顔立ちをしている。美形とも可愛いとも言えるが…。

…何だろう? 背中がぞわぞわする。

サラを見ると、彼女は机の上で固く手を繋ぎ、下を向いて小刻みに震えている。
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