ようこそ! 魔破街へ
タカオミは苦笑を浮かべたまま、眼を閉じ、何かを耐えているようだった。

何か―それは恐怖、だ。

コクヤは笑みを浮かべているものの、その瞳には有無を言わせない力を宿している。

オレは音をたてないように、ため息をついた。

そしてキバラに笑顔を向ける。

「先生、彼の前で良いです」

ざわっ、とクラスメイト達は騒いだ。

「さっサマナ…」

顔色を失くしたキバラは、見ていて気の毒になるぐらい動揺している。

「オレは構いませんから」

「…すまんな。じゃあそうしてくれ」

「はい」

オレは一番後ろにあった空席を、コクヤの前に持ってきた。

それまでコクヤの席の前だった男子生徒は、心底ほっとしたような表情をしていた。

…よっぽど、なんだな。

「サマナ、俺はコクヤ。よろしく」

にっこりと微笑む笑顔は、【スピリット・クラッシャー】の異名を持つとは思えないぐらい可憐だった。
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