いじめ
~実見~

「おはよ実見(まみ)!」
「葵(あおい)!おはよ~」
あたし雪下実見(ゆきした・まみ)。
普通の小6女子。
親友は同じクラスの藤咲葵(ふじさき・あおい)。
その他にも、友達はいっぱい。
楽しい学校生活。
そんな毎日が大好きで、これからもずっとそんな生活が続くと思ってた。
そう、この時・・・までは―――――。

「実見、おはよう」
「日芽花(ひめか)!おはよ~」
麻倉日芽花(あさくら・ひめか)。
美人で成績もよくて、クラスのお嬢様的存在。
しかも日芽花はあの有名な麻倉財閥の1人娘。
そんな日芽花と仲良しなあたし。
それについても嬉しい。
・・・でもそれが嬉しいと思っていられるのは・・・・・
この時だけ、だった。

「ただいま~」
「おかえり・・・実見・・・」
家に帰ると、お母さんが帰っていた。
「・・・お母さん早くない?
てか、雰囲気暗くない?」
「・・・お父さんがね、会社・・・
クビに・・・なっちゃったの」
くっクビ!?
「やだなーお母さん!そんな嘘・・・」
「嘘じゃないわ」
あたしが笑い飛ばそうとすると、お母さんは話を遮った。
「そんな・・・お父さんは今どこにいるの!?」
「・・・2階よ・・・」
「お父さん!!!」
なんで―――――――
どうして―――――
クビになんか・・・・!?
「何でクビになっちゃったの!?」
お父さんはうずくまっていた。
「・・・最近・・・ミスが多かったんだ。
だから、課長が怒って・・・」
そんなこと・・・・・。
あたしどうしたらいいの・・・?
このままじゃ、お母さんが稼いでくれたお金だけじゃ・・・
生活していける訳がない。
学費も出せる訳がない。
学費が出せなかったら、学校に行けない。
学校に行けなかったら、葵や日芽花に会えなくなっちゃう。
そんなの、嫌。
絶対嫌――――――――――!!!!
< 2 / 31 >

この作品をシェア

pagetop