いじめ
~実見~

「・・・おはよ・・・・・」
あたしは重い足取りで教室に向かい、ドアを開けた。
あいさつをしても、誰も返事してくれない。
葵は、ベランダで1人でいる。
あたしは葵のもとへ行き、もう1度あいさつをした。
でも何回あいさつでしても、返事はない。
なんで・・・??
「日芽花ッ」
あたしは日芽花の肩をポンと叩いた。
「触らないで!貧乏人のくせに!!!」
え・・・?
「貧乏人・・・?」
・・・もしかして!
お父さんがクビになったから・・・?
「あなたのお父様、会社クビになったんですってね。
まぁこれからせいぜい楽しむといいわ。
・・・今までとは違う、関係をね」
は・・・?
葵は横目であたしを見ている。
見て見ぬふりのように・・・。
他のクラスメイトも、あたしのことは見向きもせずに各自過ごしている。
そんな・・・・・。
日芽花・・・ひどいよ!
なんでいきなり・・・?
「葵助けて!あたしみんなに無視されて・・・」
あたしは葵に助けを求めた。
でも、葵はあたしが話しかけるとベランダから出ていってしまった。
―――完全なる“いじめ”。
ドラマとかでならよく見てたもの。
耐えられるって思ってたもの。
それなのに・・・・・
そのとき。
「はーい!じゃHR始めるわよー」
先生が入ってきた。
「突然ですが、この中でお父さんが会社をやめてしまった人がいるんです」
!?
先生・・・何を・・・?
クラス中はざわつかなかった。
でも、全員あたしを見ていた。
葵も・・・。
「先生、知ってますよ」
「実見でしょー?」
「雪下だよなー」
クラス中の子が知ってた。
あたし・・・
どう生きればいいの・・・?
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