キミと青空の下で





挨拶もなく、あたしと隆起くんの範囲だけが沈黙に包まれている。




周りはザワザワとうるさく楽しい声が響いているのに。




すると女子の黄色い声と共に、隆起くんの机の周りに女子達が集まってきた。




「おはよ♪飯田くんっ」




女子グループのリーダー的存在の子が隆起くんに挨拶をする。




隆起くんの姿は女子達で囲まれて見えないけど…きっと困ってるよね?




「…あぁ、おはよう」




ほらやっぱり。




ダルそうで不機嫌そうな隆起くんの声が聞こえてくる。




あたしはただこの人達のやり取りを耳を澄まして聞く。




キャッキャと騒ぐ女子達の声が、あまりにも耳に響いて頭が痛くなるくらいうるさかった。




…隆起くんが困ってるじゃん、何で分かってあげれないの?




隆起くんは転校初日から女子から好かれていて、こうやって冷たそうな対応でも寄って来る女子は減らないんだ。




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