サルビアの妄言

「それじゃあ…まず朔春に会ってあげてくれないかしら。」

暫く考えていた朔春のお母さんが、僕に提案する。

「勿論です。」

僕も何年ぶりの挨拶を早めにしたいと思っていたところだ。

「きっと朔春も月島君早く会いたいだろうから。」

「はははっ、そうですかね?」

ちょっとした会話をしながら家の奥へと進んで行く。


「当たり前じゃないの。
それからあの男の子…」

「周君、ですか?」

「えぇ…あの子には随時申し訳ない事をしてしまったわ。
あの子にとっても、朔春にとっても辛い事を私と夫はしてしまった。」

「……。」

朔春のお母さんは周君の話を切り出した刹那、さっきの明るい表情とは打って変わって暗い表情になった。
それ程あの事を悔やんでいるようだ。

僕はそんな朔春のお母さんに掛ける言葉が見つからずに黙り込む。
朔春のお母さんやお父さんが周君と朔春にとって酷い事をしたのは確かな時事だ。
例えそれが当時やむを得ずした事だったとしても。


「月島君、周君は…この事を知っているの?月島君をここへ呼んだ理由と朔春が―――




































――――朔春が死んでしまった事を。｣