サルビアの妄言
二つの写真を見た事でさっきの夢の事を思い出したりして少し嫌な気分にもなったが、久々にみる朔春の顔と花のような微笑みを見ていたら、そんな気持ちはすぐにふっとんでしまった。
「...やっぱ、俺未練ありすぎだな。」
写真をみながら虚しくも独り言をはいて、俺は部屋を後にする。
馬鹿な俺。
朔春は今も何処かで婚約者と幸せに暮らしているのに。
もう俺が入る隙なんて何処にも無いのに。
何でこんなにも未練があるのか。
考えれば考える程に、この思いは無謀で、虚しいものなんだと実感させられる。
本当、馬鹿な俺。
こんな思い、さっさと忘れたい。
けど忘れられない。
矛盾している。
俺がこんなに思っていたって、結局のところ、朔春が今幸せならそれで良いと思える。
例え幸せにしてあげている人が俺じゃなくても。
朔春が幸せなら何だって良い。
...これも、また矛盾してるけど。
(――・・・朔春は元気にしてるだろうか。)
下にある店へと繋がる階段を下りる途中、俺はそんな事を思った。