サルビアの妄言

階段を下り終えると、この間洗濯したばかりのエプロンを装着し、準備をもくもくと始める。

自分が動く度に、この間とは違い香水臭くないエプロンから洗剤の匂いが微かに鼻をかすめては消えていく。

(....今日は朔春デーか?)

準備を進めながら、周は思う。
勿論そう思うのには理由があった。

それは自分のエプロンから香る洗剤の匂い。
それが、うろ覚えながらもなつかしい朔春の匂いとにていたのだ。

(匂いまで覚えてる俺って...)

なんだか変態みたいだ。


そう思うとに同時に、closeの札がまだドアノブにかかっているはずのドアがゆっくりと開く。

そして、店の中へと入ってくるこの店の主。

「あ、冬樹さん。おかえりなさ....」

「ただいま、周君。」

『おじゃましますっ』


それから、その後ろに俺の知らない小さな女の子。