サルビアの妄言
困惑の始まり
あの日から4年経った今、俺は22歳になった。
母親は俺が20歳の時に死んでしまい、住んでいたアパートを売り払った俺は、今でも働かせてもらっている喫茶店の二階に住まわせてもらっている。

「冬樹さんおはよう。」

「おはよう周君。」

冬樹さんというのは、喫茶店のマスターの事だ。
年齢は不明で、出会った時から全然変わっていない気すらする。
格好良いというよりはとても綺麗な容姿をしている人で、とても優しい。


冬樹さんに挨拶をしつつ自分専用のエプロンに袖を通す。
いつもつけているエプロンからは、優しいコーヒーの他に少しキツイ女物の香水の匂いがして、なんともいえない匂いに俺は顔をしかめた。

最悪だ。
この間のバー(喫茶店の夜)に来た女の客が妙にしつこくまとわり付いて来て、正直うっとおしかったのを思い出す。
多分、いや間違いなくこのキツイ香水の匂いはその女によってつけられたものだろう。

「今日の夜に洗濯するか...」

独りでひっそり呟くと、俺は店の郵便受けへ向かった。


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