サルビアの妄言
視点:冬樹

周は郵便受けから朝刊と手紙を持って来るなり、突然カウンター席へと座りうつ伏せてしまった。
疲れているのかと少し心配になったが、ふと昨日の夜の事を思い出す。
確かやたらチャラチャラした派手な女性が周にくっ付いていた。
多分それだろう。

少し周を哀れんだ目で見てから、自分宛てに届いたという封筒へ手を伸ばす。
裏返して送り主を見るが何も書いていない。
少し気味悪く感じながらも封を切った。


「......。」

手紙を読んで、送り主が誰だか分かった。
でも、そんな事考えられたのは本当に始めの方だけだ。
手紙を読み終わって、しばらく僕は動けないでいた。
まるで時間が止まってしまったみたいに。

(これは...とてもじゃないけどまだ周君には言えない。)

僕自身だって、まだ理解し難い。



こんな事があって良いんだろうか。
周君...君はこの事実を知った時、どうする?

僕はもう一度、今度は不安な眼差しでテーブルにうつ伏せる周君を見やった。

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