私たちの道標
【或】
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「そしてお父さんは自殺したの」
俺は、母さんの言っていることが信じられなかった。
だって、ウソだろ?
親父が人を殺して自殺なんて。
親父が誰を殺したって言うんだよ!!
信じられるわけがない。
「ごめんね、ごめんね・・・」
母さんは泣いていた。
「私が、お父さんを止められなかったから」
「・・・」
「いいえ、ちがう。止める前に私があの人を支えられていたら、あの人をもっと正しい道に導いていたら、あんなこと!!」
「おい!母さん!」
母さんは、もがき苦しんでいたんだ。
ずっと。