団☆乱ラン
壁にもたれるように立つ二ノ宮くん。
と言うか…
追い込まれている感じ…。
ホテルの中なのに、奥まった所にある化粧室だからなのか──やけに静かで、二人の声がバッチリ耳に入る。
野次馬根性丸出しのあたし。
耳なんて“ダンボ”だ。
「…あの、ケン兄さん?」
「ん?」
ケン兄さんと呼ばれるその人も、二ノ宮くんに負けず劣らずで──
サラサラのブラウンの髪とメガネの似合う、イケメンっぽい人。
ちょっと、ここからだと、はっきり見えなくて─“ぽい”ってなるんだけど……
声がスゴくいい声─優しくて─ドキドキする。
“モテそうな感じの人”だった。