団☆乱ラン
「ね、須具利さん。」
「へ?──なに?」
吉田さんがこんなにあたしに、と言うか…腐女子仲間以外に話しかけるなんて珍しい。
「へ?……って、須具利さんって面白いね。」
目の前でクスクス笑う吉田さん。
─面白いね。って………。吉田さんにそんな風に思われるなんて───。
「あのね、さっき、下駄箱でさ、二ノ宮くんに声かけられてたよね?」
「あ、うん。」
なんだか、もじもじしてきた吉田さん。
……………。
「あのさ、二ノ宮くんって……“アドニス”だよね。」
うっ!?
今、一番聞きたくない言葉なのに!
吉田さんは、絶妙なタイミングで聞いて来て
あたしは、もう、落ち込むどころでない。
心臓が、ドドドドドド……って急加速した。
「須具利さんって、二ノ宮くんと仲良いよね。」
ドドドドドド………。
しらっとした感じで聞いてくる吉田さん。
あたしの心臓はドドドドドド……あたしは、警戒心だらけで、吉田さんの次のセリフに集中した。
「二ノ宮くんって……両刀だって噂……聞いたことある?」
うっ!?
心臓を撃ち抜かれた。
一瞬止まったと思った。
その一言で、ホテルでの二ノ宮くんの行動が不自然なものでなくて、当然に変わった。
「よ、吉田さんッ!それ、どこで聞いたの!?」
あたしは身を乗り出して聞いていた。