団☆乱ラン
今日の静くんは変だった。
あたしと二人っきりで歩いていても何だか落ち着きがない。
いつもなら余裕しゃくしゃくでからかい半分に嫌みでも言ってくるのに
そんなのも無い。
だけど……何で静くんが変なのかは校門をでて、10分程歩いた所でわかった。
歩道に横付けされた黒塗りのリムジン。
真横に立っているのは執事服を着たあの人で。
「セバスチャンさん?」
ポツリと呟いたあたしの言葉に、隣から“チッ”と言う舌打ちが聞こえて
フッと見た静くんはいつもに増して不機嫌極まりなくて
ゆっくりと近づくとセバスチャンさんの前で足を止めた。
「お久しぶりでございます静様。」
!?
「…ああ。」
にこやかな声のセバスチャンさんに反して不機嫌極まりない静くんの声。
この二人知り合いだったの!?の驚きに言葉が出ない。
「…殿の御命令で檸檬様をお迎えに上がったのですが…静様もご一緒とは……」
そこまで言って苦笑いをするセバスチャンさん。
「知ってる。母さんに言われたからな。俺も行く。別にかまわないだろ?」
「…はい。仕方ありませんね…奥様は静様にお会いになりたいといつもおっしゃっておられますし。」
にこやかに笑うと、リムジンのドアを開けた。
「ほら。」
静くんに顎で促されて、訳が分からないままにリムジンに乗り込んだ。
「ねぇ、どこに行くの?」
隣に座る静くんに尋ねたら、
「カエル御殿」
「は?」
訳の分からない返事をされた。