団☆乱ラン
助けを求めるあたしの額から、汗が吹き出している──はず。
だって、祈るように合わせた両手の手のひらが汗ばんでいるのがわかるから。
それでも
二ノ宮君の命を守るためにあたしは、にっこり微笑んで言った。
「…二ノ宮君は、ただのクラスメートだよ?」
「……」
「あ、頭だってすっごく良いんだからね?」
「……」
「あ!静君だって、仲良くなれるよ。頭の回転すっごく早いし、話だってすっごく合うはずだよ?」
「檸檬。」
目線を合わせずにペラペラしゃべっているあたしに、“檸檬”って名前を呼ぶ低い声がして
「な、なななななな何?」
静君の声に、取り返しがつかないくらい動揺してしまった。
「ふうーん。二ノ宮カイラって言うのか。」
「え、あ、いや……」
「アルションね。…確か、爽が行きつけの店がアルションだったよな?」
!?
流石は静君、記憶力良い。
って、感心している場合じゃないっ!!
な、何とか話題を、話題を逸らさなければ……。