団☆乱ラン
「だいたい、あんなお涙頂戴的なくっさーい芝居で檸檬の気を引こうなんて、静もああ見えてなんか辛気くさいとこあんのよね」
「…」
「全く、あの子にも困ったものだわ。いつまでも妹命じゃあねぇ。」
お皿を洗う手を休めないで、ブツブツ大きな独り言?を言いながら、あたしの方をチラ見した。
「…」
同意を求められているのがひしひしと伝わってくる。
「----ねえ、檸檬もそう思うでしょう?」
返事をしないでいると、追い討ちをかけるように更にそう言うお姉ちゃん。
「...」
「あーあ、早く彼女見つけて、出て行ってほしいものだ---」
「年功序列で、そっちが先に出て行く番じゃないの?」
振り向くと、キッチンの入り口で柱にもたれながら静くんが冷ややかにこちらを見ていた。
「あら、もう大丈夫なの静?おねえちゃん心配しちゃったじゃないの?」
「おかげさまで」
にっこり笑ってはいるけれど、二人の背中からは敵意丸出しの黒オーラが立ち上って----あたしは、ごくりと唾を飲み込んだ。
一発触発...って感じ。
又、今にも火花が散りそうで------
「あ、あたし、そろそろ、部屋に戻るね」
「え?檸檬?」
静君の隣をすり抜けて、一気に階段を駆け上がり自分の部屋に逃げ込んだ。