団☆乱ラン
竹田要と言った紳士は、僕に向ってにっこりと微笑んだ。
ドキン…と心臓が跳ねる。
「須具利朔弥(すぐりさくや)です」
それだけ言って、目線をそらせてしまった。
顔が熱くて耳まで真っ赤なのが鏡を見なくてもわかったから──
もうどうすればいいのかわからない。
同性にこんなに動揺するなんて…ドキドキが止まらない。
「セバスチャン!!」
突然背後から大きな声がして、紳士が言葉を止めてふわりと微笑み振り返った。
「毬様」
毬様と呼ばれた彼女は、すたすたと早足で紳士に近づくと──
バシッと紳士の頬に平手打ちをした。
それはそれはすごく、いい音がした。
ホームにいたほとんどの人が振り返るほどで────。
彼女の容姿とのギャップありすぎる行動に、僕を含めてみんなが唖然としていた。