団☆乱ラン
「い、いやね、母さんとの馴れ初めをだね────」
冷や汗を誤魔化すように、遠くを見て父さんが
「あの頃の母さんはものすごく可愛かったなあ」
苦し紛れに呟いた。
「やだわ〜お父さんったら、わたしはいつだって可愛いじゃない?」
探るような母さんの声に
「お、おお…」
父さんの声は明らかに動揺していた。
「と、父さんはな?”可愛い“母さんに毎晩は子作りに励んだんだよな〜」
腰をフリフリ父さんが感慨深げに話す。
(冷や汗は拭いきれてはいないけどね)
「あ、その情報要らないからね?腰振りもキモイから止めて」
間髪入れずに花梨お姉ちゃんが突っ込む。
「う!?」
胸を抑えへこむ父さんを尻目に、他の兄弟たちは大きく頷いた。
「まあ、要するに母さんは昔っから鬼…もとい、強かったって事だな」
「うんうん。父さんは昔っからバカ…もとい、物好きだって事だな」
隆兄と静君が頷き合う。