団☆乱ラン



「まあ、俺だったら、美人だからって理由だけで相手を選ぶ─なんてしないけどね〜」


「中身が伴わないやつとは無理だな。付き合えない」


静くんと隆兄が真顔で頷き合う。



あたしは横顔に突き刺さるような母さんの視線を感じて
恐ろしくて母さんの顔が見れない。


目配せをして隆兄と静くんに訴えてみたけど、意気投合した二人は気づいてくれない───


(二人とも、調子に乗ってるよ!!)





「あんたたち、その親譲りの美貌のおかげでどれだけの恩恵を受けているのか分かってる?」



ニコニコしながら母さんが言う。



気持ち悪いくらいの微笑みに、朝から出力全開で空気が変わった。




流石に気づいて二人が母さんににこりと微笑みに返した─


けど………


かなりのひきつり笑いだ。



なのに───








「確かに、美人は得だって言うけど、全てが得に繋がるとは言えないだろ?」



「「「「「!?!?!?」」」」」


父さんのあり得ない発言に兄弟五人が凍りついた。



コレがバラエティー番組なら、みんなの頭の上に“!?”マークが一気に付けられていることだろう。



固唾をのんで見守るのは、父さんの命のともしび───





ほんっとに、空気読めないんだからっ!!



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