Short Lovers
「なにそれ…!?」
目の前の彼は、思い切り息を吸い込んで言葉を紡いだ。
「俺が好きになったのは」
1年たった今でも、あの光景はわたしの脳裏に、鮮明に色濃く焼き付いているのに。
思い返すたびにいつも、言葉の終わりにため息を探させる。
「多分、愛理の顔とか
清純そうな見た目とかで
……ごめん、俺が悪い
愛理は何も悪くない。
中身を知らないまま
軽々しく告白した
俺が悪いんだ………」
だけど、確かなはずの記憶の中をいくら探しても、
そんなもの見つからなかった。
『俺ら、って、勝手に複数系にしないでよね?!』
『わたしはそんなこと思ってないんだからっ!!』
……言いたいことはたくさん思い付いたけど、それを全部口からポンポン言えちゃうほど、
わたしは可愛くも純情でも
考えなしでもなかった。
「……別れよう」
そうだよ。
その一言でよかったの。