Short Lovers
◆
教室。
「てゆーかさ?」
相槌もくれないタイスケ君を、もう冷たいとは思わない。
「そろそろ名前で呼んでよ」
形のいい眉を一瞬ピクッとさせて、はぁ?って顔してわたしを見る。
「なんでだよ」
「だって嘘でも恋人なのに
いつまでも『先輩』だと
なんか変じゃんっ」
ウソ。
ほんとは、『先輩』って呼ばれるたび、その言葉に壁を感じちゃうから。
それが無性にいやだから。
「『愛理』」
「……てゆーか教室戻んなよ
『浦山先輩』」
上手く逃げるタイスケ君の腕を交わして、廊下にあった体を教室内へと入れた。
代わりにタイスケ君が廊下にでるかたちになる。
「あーいーり!」
「はぁ」
わたしはタイスケ君のため息を始めて聞いた。