Short Lovers
「タイスケ!」
廊下から、タイスケ君を呼ぶ女の子の声が聞こえた。
その声に、今までわたしが見たことないような早さで反応するタイスケ君。
「…どーしたんだよ」
なんとなくわたしは、タイスケ君の腕をひいてしまった。
廊下を覗くと、小柄な可愛らしい女の子が立っていた。
高等部の制服だ。
「‥‥っ」
その子がUターンするのをみて、タイスケ君は素早くわたしの手を振り払って、その子のところにかけてく。
さすが、ぶきっちょさん。
妬かせたかった相手って、
キミの好きな子って、
その子のこと?
恋の駆け引きもできない。
だけどそこがタイスケ君らしくて、悔しい。
「……不器用なくせに…」
あの子には、随分素直だなぁ、と思った。