Short Lovers


ガラガラガラ


「………」


保健室の先生は不在らしく、わたしはベッドを一瞥した。



ガラガラガラ



ら、同じクラスの男の子が入ってきた。



「「あ……」」



津賀君。


成績優秀で優しくて、うちのクラスの女の子の間では結構人気がある。

彼は全然、授業中の保健室には無縁に見えるのに。



「どうしたの?」



わたしが声をかけると、ドアの前で固まっていた津賀君は、保健室利用者名簿に名前を書いた。

津賀君の字は、綺麗。



「浦山こそ、どうしたの?
 垣野が心配してたよ」



垣野…、サヤカのことだ。


「あぁ、うん……なんか」



ふ、と

タイスケ君の笑顔が浮かんだ。フラッシュバックする記憶。


『むしろ思いっきり
 崩してやれば』




「……授業、
 受ける気しなくてさっ」


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