Short Lovers
ふっ、と笑って
楽しそうに津賀君は言う。
「そうだな、
最初はなんだか謎めいてる
ところに惹かれてたと思う
だけど今は、なぜか
授業さぼっちゃうような
浦山を可愛いと思った
浦山は強がりで
嘘がヘタで、実は誰より
優しくて誠実で
小さい子供みたいに
なんだか純」
俺がそう思ってるだけだけど。知ったように話してごめんね。
そう言った津賀君の表情は、残念ながら見られない。
涙で歪んだわたしの視界に、鮮明に写るものなんて、なに一つなかった。
「ちなみにさ」
わたしのほっぺたを伝う、拭いきれない涙を、津賀君は一つ一つ丁寧に、優しく親指で拭ってくれた。
わたしは身動き一つとれない。
これはなんだろう。
いわゆる『放心状態』ってやつなのかな?