Short Lovers
「無理は逆効果じゃない?」
心配そうに言うユリ。
あたしの耳にどこからか、ユリの心の声が響いてきた。
「菜緒実はそのままで
十分可愛いのに……」
(ある意味ね)
グサッ
続けざまにユカが言う。
「そうだよそうだよっ
無理してダイエットなんか
お肌が荒れちゃうかもよ」
(もし成功してわたしより
可愛くなられたらイヤ!)
ドスッ
グサリグサリと胸に突き刺さる悪魔の声(友達の心の声の幻聴)があたしの耳に流れ込んでくる。
イライラしてモヤモヤしてズキズキして、なんだか哀しい。
それもこれもみんな、あたしが自分に自信がないから悪い。
もしあたしが自分に自信を持ってたら、誰に何を言われようと胸を張って跳ね返せると思う。
図星じゃなければこんなに傷ついたりしないし。
バスケするのに胸はいらない。だけど、女の子らしくなるためには胸も必要だ。
バスケか女磨きかなんて。
選ばなきゃなんない日がくるって知ってたならあたしは
こんなに慌てたりしなかったのかな。