月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で
ここ最近、4人はジュースをかけてのフリースロー対決をするのが、定番だった。

「そのジュースをかけるという約束事を言い出したのは?」

「フリースローもジュースも、言い出したのは馬場よ」

4人の中では馬場が1番、スポーツが得意だということだった。

「不公平だという声は出なかったんですか?」

「あの連中は、相手が自分より優秀だと、自ら認めるようなことはしないわよ」

由美は皮肉めいた口調で言った。

そしてあの日は江川が負けて、由美を含む5人は校内の自動販売機へと向かった。

「ということは先輩たちは食堂へ向かったわけですね」

「そうよ」

S高校には学生専用の食堂がある。

校内で自販機があるのはそこだけだった。

由美を含めた4人が食堂のテーブルに座り、江川がジュースを買ってくるのを待っていた。

「お待たせ」

戻ってきた江川はまず、馬場にジュースを手渡した。

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