月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で
「貴裕にそれとなく訊いたことはあるわ」
「そしたら何と?」
「エリートに嫉妬したバカな誰かが、毒を塗ったジュースを仕込んだんだろうって」
バカはどっちよと、由美は呆れた口調で言った。
「プライドが高いにも程があるわ」
「佐伯先輩は今回のことどう思ってます?」
「4人の誰かが犯人かもしれないわね」
「その根拠は?」
「4人の手に渡る以前に、ジュースに毒が塗られたとは考えづらいんでしょ?」
天堂か、或いは他の3人から聞いたのだろう。
「だとしたらあの4人の誰かだろうと思ったんだけど、いくら考えても思いつかなくてね」
「もしかしてそれで僕に?」
「あくまでも理由のひとつよ」
由美は茶目っ気たっぷりに笑った。
ずいぶん自分に正直な女性(ひと)なんだなと達郎は思った。
4人の前で清楚な女性を演じているのも、それはそれで、正直さの表れかもしれない。
「そしたら何と?」
「エリートに嫉妬したバカな誰かが、毒を塗ったジュースを仕込んだんだろうって」
バカはどっちよと、由美は呆れた口調で言った。
「プライドが高いにも程があるわ」
「佐伯先輩は今回のことどう思ってます?」
「4人の誰かが犯人かもしれないわね」
「その根拠は?」
「4人の手に渡る以前に、ジュースに毒が塗られたとは考えづらいんでしょ?」
天堂か、或いは他の3人から聞いたのだろう。
「だとしたらあの4人の誰かだろうと思ったんだけど、いくら考えても思いつかなくてね」
「もしかしてそれで僕に?」
「あくまでも理由のひとつよ」
由美は茶目っ気たっぷりに笑った。
ずいぶん自分に正直な女性(ひと)なんだなと達郎は思った。
4人の前で清楚な女性を演じているのも、それはそれで、正直さの表れかもしれない。