月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で
「先に戻っててくれ」
傍らにいた刑事にそう声をかけると、部下らしき刑事は秀昭に一礼して立ち去った。
「どうしてここに?」
達郎が訊くと
「いや、まったくの偶然だ」
と秀昭は笑った。
「ただ昨夜の電話が気になっていたから、探してなかったと言えば嘘になるがな」
達郎は兄に事件解決の糸口が掴めるかもしれないと電話で告げていた。
「で、何かわかったか」
達郎はメモに目を落としながら、事件発生当時の状況や4人の人間関係を説明した。
由美のことも当然話したが、デートや大立ち回りの件は割愛した。
「その由美って子、信用できるのか?」
秀昭の疑問はもっともだった。
「4人組と距離を置いているという点は間違いないと思う」
1人だけジュースを手にしなかったという事実からもそれはわかる。
証言の内容自体も、特定の誰かが有利になるものとは思えない。
「ふぅん…しかし高校生とは思えないほどの2面性だな」
傍らにいた刑事にそう声をかけると、部下らしき刑事は秀昭に一礼して立ち去った。
「どうしてここに?」
達郎が訊くと
「いや、まったくの偶然だ」
と秀昭は笑った。
「ただ昨夜の電話が気になっていたから、探してなかったと言えば嘘になるがな」
達郎は兄に事件解決の糸口が掴めるかもしれないと電話で告げていた。
「で、何かわかったか」
達郎はメモに目を落としながら、事件発生当時の状況や4人の人間関係を説明した。
由美のことも当然話したが、デートや大立ち回りの件は割愛した。
「その由美って子、信用できるのか?」
秀昭の疑問はもっともだった。
「4人組と距離を置いているという点は間違いないと思う」
1人だけジュースを手にしなかったという事実からもそれはわかる。
証言の内容自体も、特定の誰かが有利になるものとは思えない。
「ふぅん…しかし高校生とは思えないほどの2面性だな」