月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で
『動機か…』

それに関しては、達郎の中で薄ぼんやりした何かが浮かんでいた。

『動機は…ある』

達郎は唇を尖らせた。

「達郎、なんか飲むか?」

気晴しのつもりか、秀昭はコンビニを指した。

達郎は唇を尖らせたまま、無言でうなずいた。

『もしそれが動機なら、犯人はどうやって…?』

達郎はあらぬ方向を見つめながら、考えを巡らせた。

「おい達郎」

いつの間にか秀昭がコンビニ店内から戻ってきていた。

「ココアもカフェオレも無かったんで普通のコーヒーにしたんだが、飲めるか?」

ブラック以外なら飲めなくはない。

達郎は無言のまま秀昭に向かって手を伸ばした。

「飲めなかったら飲まなくていいからな?」

そう言って兄にコーヒーを手渡された瞬間、達郎の頭に閃きが疾った。

「そうか…!」

「どうした、達郎!?」

急に大声を出した弟に、秀昭は驚いた。

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