月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で
翌日。
達郎は【争いの樹】の下に立っていた。
今は放課後。
時は夕刻を告げ、日の光は【争いの樹】の葉を紅く染めている。
落葉の季節、時折はらりと落ちる【争いの樹】の葉を、達郎はじっと眺めていた。
「この樹がなぜ争いの樹と呼ばれているか知ってるかい?」
そう声をかけられて達郎は振り向いた。
「この学校の創立者は議論好きでね。暇をみては生徒を集め、意見を闘わせていたそうだ」
「この樹の下でですか」
「そう。もう100年以上前の話だけどね」
「その創立者の姿が語り継がれて、この樹が争いの樹という名前になったんですね」
「その通り」
「先輩たちは創立者の真似をしてるわけですか」
「まぁ、そう思ってくれて構わないよ」
その声に、含み笑いが混じった。
「由美に呼び出されて来たんだが、彼女はいないみたいだね」
達郎は【争いの樹】の下に立っていた。
今は放課後。
時は夕刻を告げ、日の光は【争いの樹】の葉を紅く染めている。
落葉の季節、時折はらりと落ちる【争いの樹】の葉を、達郎はじっと眺めていた。
「この樹がなぜ争いの樹と呼ばれているか知ってるかい?」
そう声をかけられて達郎は振り向いた。
「この学校の創立者は議論好きでね。暇をみては生徒を集め、意見を闘わせていたそうだ」
「この樹の下でですか」
「そう。もう100年以上前の話だけどね」
「その創立者の姿が語り継がれて、この樹が争いの樹という名前になったんですね」
「その通り」
「先輩たちは創立者の真似をしてるわけですか」
「まぁ、そう思ってくれて構わないよ」
その声に、含み笑いが混じった。
「由美に呼び出されて来たんだが、彼女はいないみたいだね」