月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で
「佐伯先輩には、呼び出し役だけをお願いしました」
「立ち会い人は頼まなかったわけだ」
「はい」
「まぁ、薄々気付いてはいたけどね」
「僕のことをご存じでしたか」
「一年生に秀才がいるとは聞いてたよ。君のご家族のことも」
「兄とは話したことありますか」
「事情聴取の時に何回かね。とても礼儀正しくて、好感もてる人だった」
「本人にそう伝えておきます」
「そろそろ本題に入ろうか。僕を呼び出した理由は?」
「単刀直入に訊きます」
達郎は一度ごくりと唾を飲んだ。
「馬場先輩が口をつけたジュースに毒を塗ったのはあなたですね」
一瞬、強い風が吹いて、『争いの樹』の葉が激しく音を立てた。
「違いますか江川先輩」
「立ち会い人は頼まなかったわけだ」
「はい」
「まぁ、薄々気付いてはいたけどね」
「僕のことをご存じでしたか」
「一年生に秀才がいるとは聞いてたよ。君のご家族のことも」
「兄とは話したことありますか」
「事情聴取の時に何回かね。とても礼儀正しくて、好感もてる人だった」
「本人にそう伝えておきます」
「そろそろ本題に入ろうか。僕を呼び出した理由は?」
「単刀直入に訊きます」
達郎は一度ごくりと唾を飲んだ。
「馬場先輩が口をつけたジュースに毒を塗ったのはあなたですね」
一瞬、強い風が吹いて、『争いの樹』の葉が激しく音を立てた。
「違いますか江川先輩」