月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で
達郎がペンを走らせたそこには
「真夜」
とあった。
「惜しいな」
秀昭は首を振ると、達郎からペンとナプキンを受け取って
「真世」
と書いた。
「名前をつけたのは誰なの?」
「彼女の父親だ」
「大のマヨネーズ好きなんだね」
「当然だ」
「それを知って本人はマヨネーズ嫌いになったというワケだね」
「そういうことだ」
「父親のマヨネーズ好きが高じて真世なんて名前つけられたんじゃ、嫌がって当然だね」
「母親や親戚一同も届けを出してから気付いたそうだ」
「そりゃお気の毒」
「しかしなんだ、大したもんだな、お前は」
「なんだよいきなり」
「オレが用意した問題をオマケつきで解いちまうとはな」
そこまで言うと、秀昭は表情を引き締めた。
「兄さん?」
兄の顔つきが変わったのを、達郎はいぶかしげに見た。
「達郎」
秀昭は弟の顔をじっと見すえた。
「実はお前に、頼みたいことがある」
「真夜」
とあった。
「惜しいな」
秀昭は首を振ると、達郎からペンとナプキンを受け取って
「真世」
と書いた。
「名前をつけたのは誰なの?」
「彼女の父親だ」
「大のマヨネーズ好きなんだね」
「当然だ」
「それを知って本人はマヨネーズ嫌いになったというワケだね」
「そういうことだ」
「父親のマヨネーズ好きが高じて真世なんて名前つけられたんじゃ、嫌がって当然だね」
「母親や親戚一同も届けを出してから気付いたそうだ」
「そりゃお気の毒」
「しかしなんだ、大したもんだな、お前は」
「なんだよいきなり」
「オレが用意した問題をオマケつきで解いちまうとはな」
そこまで言うと、秀昭は表情を引き締めた。
「兄さん?」
兄の顔つきが変わったのを、達郎はいぶかしげに見た。
「達郎」
秀昭は弟の顔をじっと見すえた。
「実はお前に、頼みたいことがある」