電光石火×一騎当千
「お二人は、どうして一緒に旅を? やっぱり、その──」

──恋人同士だったりするんだろうか。

妙齢の男女、それもこんなとびきりの美男美女だ。
どこからどう見ても完璧な似合いのカップルに思える。

それが二人きりで旅をしているともなれば──と、

コハルは甘い想像に胸をときめかせながら尋ねたが、


「ああ、互いに腕を認めてるからな。相棒にするには不足無い」


しかし返ってきたのは予想外の淡泊な答えで、少女はやや拍子抜けする。

相棒、とはまた──互いを呼ぶには何とも色気のない硬派な呼称だ。


やはり大陸に名を轟かす剣術使いともなれば、凡人と違って、
色恋だの好いた惚れただの──そんな浮ついた俗世間の感情にうつつを抜かすことなどないということだろうか。


「あとは、目的が一致したからな」

「目的?」

「ああ、互いの旅の目的だ」

タイホウが返してきた答えに、コハルは亜麻色の髪を揺らして首を傾げた。

「何ですかぁ? その、お二人の旅の目的っていうのは?」


フッ、何だと思う? とタイホウがもったいぶって聞き返した。


「うーん、何だろ何だろ?」

コハルは無邪気に考えを巡らせる。

山賊をあっと言う間に斬り伏せる達人二人の旅の目的とは……。
< 18 / 46 >

この作品をシェア

pagetop