電光石火×一騎当千
太陽も傾き、その日も暮れようかという頃、

三人は山道を抜け、ようやく町に辿り着いた。


すぐさま奉行所の横にあるという侍座に行き、カミナルとタイホウは山賊たちの死体の検分と賞金の支払いを頼んだ。

応対した男に、
二人が確かに討伐したという証拠はあるかと聞かれ、カミナルが無言で差し出した革袋には何が入っていたのか──

ぷんと生臭い異臭のする袋の口を開けて中を覗き込んだ男は、見る見る真っ青になって、わかった明日検分の者を向かわせると頷いた。


それから対応の男は、あの山賊どもの首魁(*)は、『天地無用』という妖術使いだったはずだが、そいつも斬ったのかと二人に尋ねた。


カミナルとタイホウは顔を見合わせた。


「妖術使いの首魁なんていたか?」

「そう言えば山賊どもが、お頭がどうのとか話していたが……」

「まあ、一秒で皆殺しにしちまったからな。
あの中に妖術使いがいたとしても、何もするヒマがなかったとは思うが」


一秒で皆殺し、という響きに対応の男は仰天し、さすが『電光石火』と『一騎当千』の二人だと誉めちぎり……、


結局今日の手続きはそれで完了し、二人は侍座を後にした。



(*首魁:一味の頭領。山賊や盗賊のかしらのこと)
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