電光石火×一騎当千
タイホウは、手にした大太刀を抜いて構え──


魔王の刀で胸を刺し貫かれた女を見て、思い知った。


「──できない」


震える手で、刀を下ろす。


出会ったあの晩から、自分はこの女に惚れていたのだ。

今さらのように、己の感情の正体を悟る。


「な──馬鹿な! 何をしている……!?」

カミナルが美しい顔を歪め、そのそばで魔王が翼をひと打ちした。

バキン、とタイホウが手にした大太刀も折れ飛ぶ。


「危ない危ない。鬼神の力は確かに驚異だからねェ」


クククッと神野が笑って、


「気に入ったよ、カミナル、タイホウ」


と言った。
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