電光石火×一騎当千
つまり神野悪五郎本人の言葉から察するならば、ビンゴの大戦は──

魔王同士の勝負だか何だかわからないが、幻を見せる貝を使って魔王が人間を怖がらせて遊んでいただけ、ということになる。

人間の軍勢など人外魔境を統べる彼らにとっては玩具に過ぎないということらしかった。

十万の兵が完全に弄ばれたなど、こんなとんでもない馬鹿馬鹿しい話は、タイホウもカミナルも誰にも話せず、真相は彼らの胸の内に納められたまま現在に至る。


神野からもらった刀は、特に何のヘンテツもないただの小太刀と大太刀だったが、何を斬っても折れず、刃こぼれ一つせず、他の者の手に渡っても彼らのもとに戻ってくるというなかなか便利なものだった。

あれから二年、二人ともあんな化け物を呼び出すような真似はしていないが、今もあの気まぐれな妖怪の王はどこかで山本五郎左衛門と勝負をしているのだろう。



そうか、もはやすっかり忘れていたが、初対面であの絶対零度の女に惚れたことがあったんだな、

と昔を懐かしく思い出しながら、

タイホウは寝息を立て始めたコハルの横で自分も眠りに就いた。
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