恋恋【短】
「…未來、愛してる。
俺は、これから何十年生きるだろうけど、未來だけを愛してる。
毎日、未來を思い出す。
きっと俺の脳内は、おっさんになってもじじぃになっても、未來ばっかだよ。
待っててくれよ、…俺がんばるから。
未來との約束ちゃんと守るよ。」
情けねぇくらい涙流して誓う俺に未來は一度微笑むと
『…またね、楓。』
それだけを言い残し、あっけなく消えていった。
そこに、確かに存在したはずなのに俺の手は夜空を掴むだけ。
夢だったのかもしれない。
だけど、夢じゃない。
だって、俺の服が濡れている。
未來の涙で濡れているんだ。
それだけが存在証明。
たった数時間だったけど、未來はちゃんと居たんだ。
…ちゃんと、この腕の中に。
そっけない最後だったけど、あれでよかったのかもしれない。
素直にそう思える。
だって、別れじゃないから。
俺たちは必ずまた出会うから。
だから、きっと未來は
『またね』
を選んだ。
『ばいばい』
じゃない、未来への希望を含んだ言葉を選んだのだろう。