愛なんて簡単に語るな
慌てて顔を上げる。つい先程まで目の前でギターを弾いていた女性が、いまはまっすぐにあたしを見つめていた。驚きでぽかんと口が開く。
辺りに目をやると、あたしの周りで彼女の歌を聴いていたはずの人々はすっかり姿を消していた。そこにいるのはふたりだけ。あたしと、ギターを抱く彼女。
「そろそろ補導員がうろつく時間だと思うけど」
あからさまに呆れた表情を浮かべ彼女は続けた。その言葉に自分の携帯電話を取り出す。
ギョッとした。液晶画面に表示された時刻は午後10時をとっくに回っている。たっぷり3時間はここにいたと言うのか。
クッキーやチョコレートをモチーフにした華やかな待ち受け画面に被るように、着信1件、メール1件の表示。着信は母からのものだった。
辺りに目をやると、あたしの周りで彼女の歌を聴いていたはずの人々はすっかり姿を消していた。そこにいるのはふたりだけ。あたしと、ギターを抱く彼女。
「そろそろ補導員がうろつく時間だと思うけど」
あからさまに呆れた表情を浮かべ彼女は続けた。その言葉に自分の携帯電話を取り出す。
ギョッとした。液晶画面に表示された時刻は午後10時をとっくに回っている。たっぷり3時間はここにいたと言うのか。
クッキーやチョコレートをモチーフにした華やかな待ち受け画面に被るように、着信1件、メール1件の表示。着信は母からのものだった。