愛なんて簡単に語るな
帰らなきゃ、と体を起こしかけたところで、腫れぼったい自分の目に触れる。陽くんとなにかあるたびに泣きわめくあたしに、母はいつも盛大な溜め息と共に漏らしていた。
「ちょっと揉めたくらいでもう駄目かも、って毎度毎度大騒ぎするくらいなら別れなさいよ。彼との仲はその程度のものなんだって自分で思ってるってことでしょ」
理路整然とした母の物言いに腹が立ったけれども、あたしはなにも言い返せなかった。
そんなことないもん、お母さんはもう年だから、いまさら恋に迷うことなんてないから軽く考えられるんでしょ。そうやって心のなかで飛ばした野次は、口をついては出て来なかった。
「ちょっと揉めたくらいでもう駄目かも、って毎度毎度大騒ぎするくらいなら別れなさいよ。彼との仲はその程度のものなんだって自分で思ってるってことでしょ」
理路整然とした母の物言いに腹が立ったけれども、あたしはなにも言い返せなかった。
そんなことないもん、お母さんはもう年だから、いまさら恋に迷うことなんてないから軽く考えられるんでしょ。そうやって心のなかで飛ばした野次は、口をついては出て来なかった。