愛なんて簡単に語るな
「ついつい作りすぎちゃうのよね、カレー」
 予想していたメニューには中心に卵が割り入れられ、焦げ目が綺麗なドリアとなって目の前に置かれた。上から大量にかけられたチーズがとろけている。
 彼女の口振りから、どうやら昨夜か今日の昼に作ったものの残りらしいと推測する。完成が早いのにも納得だ。
 食欲をそそる匂いに真っ先に胃が反応した。そういえばいつも夕飯を食べる時間から随分経っている。
「い……いいの?」
「どうぞ」
 いただきます、と呟いて傍らのスプーンを手にする。
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