愛なんて簡単に語るな
芹香が腰に手を当て、真面目な口調で話しかけてくる。
「マナミ、もうちょっと危機感持ちなよ。今回は無事だったけど、もしかしたら危ない目にあってたかもしれないんだよ? 知らないひとについて行っちゃいけないことくらい小学生だって分かってるのに」
「うん、ごめん……」
シオリはそんなひとじゃない、と口から出かけた言葉を寸前で飲み込む。いま反論したら芹香がより顔をしかめることは明らかだった。
素直に謝ったあたしに、ようやく芹香の表情がゆるむ。
「とにかく、もう変なことに首を突っ込まないこと。いい?」
「……はあい」
肩を落とし、俯いて小さな声で返事をする。頭のうえで芹香が笑い声を漏らして、ポンポンとあたしの頭を撫でてくれた。
けれども視線は上げないまま、あたしは心のなかでそっと謝罪の言葉を呟く。ごめんね、芹香。
本当は決めちゃったの。あたし、もう一度シオリに会いに行く。
「マナミ、もうちょっと危機感持ちなよ。今回は無事だったけど、もしかしたら危ない目にあってたかもしれないんだよ? 知らないひとについて行っちゃいけないことくらい小学生だって分かってるのに」
「うん、ごめん……」
シオリはそんなひとじゃない、と口から出かけた言葉を寸前で飲み込む。いま反論したら芹香がより顔をしかめることは明らかだった。
素直に謝ったあたしに、ようやく芹香の表情がゆるむ。
「とにかく、もう変なことに首を突っ込まないこと。いい?」
「……はあい」
肩を落とし、俯いて小さな声で返事をする。頭のうえで芹香が笑い声を漏らして、ポンポンとあたしの頭を撫でてくれた。
けれども視線は上げないまま、あたしは心のなかでそっと謝罪の言葉を呟く。ごめんね、芹香。
本当は決めちゃったの。あたし、もう一度シオリに会いに行く。