愛なんて簡単に語るな
 しかし当然同じ反応だと思っていた芹香が予想外の返事をした。
「いいんじゃない? カラオケ」
「芹香……」
「気晴らしくらいにはなるかもよ」
 正直そんな気分ではなかった。けれど思いがけないところで彼女に切り返され、口から出るはずだった断りの返事は流れていってしまった。
 結局雪平に押しきられる形で、あたしは誘いに乗ることとなった。

 
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