天国の窓
「あら、
 あなた…、
 優子さんの…、
 彼氏…。」

貴也は
照れながらも、
慌てて
首を横に振りました。

「あっ、いや、
 彼氏とか
 そんなんじゃ、
 ただの友達ですよっ。」

恵美子は
クスッと笑いました。
貴也は
気を取り直し、
言いました。

「あ、あの、
 ここに置いてあった
 ベニヤ板なんですけど…。」

言い終わる前に、
恵美子が
口を挟みました。

「あっ、
 “魔法の窓”ね、
 あれね、
 ちょっと今
 ここには無いのよ。」

看護婦さんの
慌てた様子に、
貴也も慌てて言いました。

「あっ、
 捨てちゃったんなら、
 もういいんですよ、
 今日来たのは
 捨てるためだったんで、
 すみません、
 いつまでも置きっぱなしで…。」

それを聞いて、
恵美子は
右手を横に
大きく振りました。
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