天国の窓
貴也は、
唾をゴクリと飲み込みました。

「それで?」

「意識を
 取り戻したのよっ。
 その後は、
 順調に回復に
 向かってるってっ。」

貴也は
苦笑いを浮かべました。

“その子が
 助かったのは
 良かったけど、
 なぜそれを
 自分にわざわざ
 電話で伝えるのか?”

と…。

「貴也君、
 前に言ってたわよね、
 意識を失っている時、
 優子さんに
 夢の中で、
 助けられたって。」

「え…ええ、まあ。」

「それでね、
 その子から、
 さっき聞いたんだけど、
 意識を
 失ってる間、
 夢を見たって。」

貴也は
目を見開きました。

「えっまさか…。」

「そう、
 夢の中で
 綺麗な花々が咲く、
 広大な草原を
 一人歩いてたらしいの、
 そしたら、
 女の人が手招きしていて、
 その女の人の
 所に行ったら、
 こう言ったんですって

“まだ、
 こっちに来ちゃ駄目、
 頑張って“

 って。

 それで、
 その子の手を取ると、
 空に浮いた
 窓に連れられて、
 そこに入るよう
 促されたんですって。

 入ると、
 そこは、
 病室でその窓は、
 貴也君が作った
 ”魔法の窓“
 だったって。
 そこで夢から覚めて、
 意識が戻ったのよ。」
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