天国の窓
雲から見ている
一年が経ちました。
この日、貴也は、
ゴールデンウィークの
長い休みを利用し、
旅に出ていました。
それは、
デジカメで色んな
風景を撮る旅です。
この一年間、
貴也は、
暇を見つけると、
旅に出ては、
風景を取り続けていました。
それらの写真は
“魔法の窓”に映され、
病院で
体の不自由な
人達を
楽しませてきたのです。
「あっ、電話だ。」
その携帯が鳴ったのは、
貴也が、
片田舎を訪れ、
田畑の風景を
撮っていたところでした。
「もしもし、
“魔法の窓”
作ってくれた
お兄ちゃんですか?」
電話の向こうは、
小学低学年位の
女の子でした。
「いつも
色んな風景を
“魔法の窓”から
見せてくれて、
どうもありがとう。」
貴也は、
ニッコリとほほ笑みました。