天国の窓
危篤
ある日、
優子から、
こんなメールが送られました。

『ほんとにありがとう、
 でも、貴也、
 もう帰ってきて、
 貴也に会いたい。』

貴也も同じ気持ちであり、
優子がそんな事を
言ってくれたのは、
初めてです。
貴也の熱心な
気持ちが伝わったのでしょう。

”そろそろ帰ろう”

貴也は、
ビジネスホテルの
ベッドに横たわり、
そう思いながら、
眠りに就こうとした時、
優子の母和江から
着信がありました。

「優子、一時間前から
 意識がなくなって…。」

涙声で、
それ以上、何も
言えなくなって
しまいました。
貴也は、
深夜零時を
回っていましたが、
ホテルを飛び出し、
車を走らせました。
とはいえ、
優子のいる
病院まで、
十時間もかかる距離です。
案の定、
車を飛ばし過ぎ、
カーブを曲がり切れず、
縁石を乗り越え、
転倒してしまいました。
< 4 / 18 >

この作品をシェア

pagetop