天国の窓
貴也の目が覚めました。
近くの病院に
運ばれたらしく、
頭を強く打ち、
何時間も
生死の境を
さまよっていましたが、
意識も戻り、
峠を越えていました。
病室には、
貴也の母、
道子が駆けつけていました。
道子が
貴也の容体を
心配するのをよそに、
貴也は優子の事しか
頭にありませんでした。
「優子は?
優子の容体は…?。」
「貴也、
あんたは大丈夫なの?」
優子が聞き返しますが、
やはり
聞く耳を持ちません。
「俺はだいじょぶだからっ。
優子は?優子っ?」
道子は、
どこか、それを
聞かれたくなかった
思いがありました。
「優子ちゃん、
あんたが、
意識失くしている間に…
息を引き取ったのよ。」
貴也は泣き崩れました。
あの夢は
本当だったのではないか、
本当は死ぬ筈だった
貴也を導き、
死から
救ってくれたのではないかと…。