天国の窓
「えっ。」
貴也は
和江を見つめました。
「優子ね、
こん睡状態になって、
意識を失った時
なんだけど、
息を引き取る間際に、
夢を見ていたのか
分からないけど、
独り言、
言ってたのよ。」
貴也は唾を飲み込み、
じっと、
和江の話を聞きました。
「“こっちは私が
いるべき所なの、
貴也君は、
まだこっちに
来ちゃ駄目。
がんばって…。”
って、そうつぶやいたのよ。」
「それって、
その言葉…。」
貴也は驚きを
隠せませんでした。
優子が死に際に
うわ言のように
つぶやいたその言葉は、
貴也が、
事故で意識を
失っている時、夢の中の
優子が言った言葉と
同じだったからです。
「おばさん、
俺が死にそうに
なっている時、
夢の中に
優子が出てきて、
同じ事言ってたよ。
優子は、
俺を死の世界から
救ってくれたんだよ…。」